寸評:「恐るべしノロウィルス」
総務部長は、金曜日から発症した過度の下痢症状に悩まされていた。最近巷を賑わせているノロウィルスに感染したものと思われる。感染経路はほぼ間違いなく部長の第三子からだろうと思われる。この赤ん坊が2週間前から同じように、飲んだミルクがそのまま肛門から流れ出ている症状に見舞われていたのだ。この赤ん坊に毎日のようにディープなキスをしていたのでは、感染らないほうがおかしい。
部長は1試合目を欠場し、ベンチでヤジ将軍になっていた。しかし、試合中にトイレへ足を運ぶこと3回。トイレへ行くこと自体はここ数日慣れていたので、大した問題ではなかった。しかし、夢の島野球場のトイレは汚かった。そして、和式便所しかなかったのだ。洋式の綺麗なウォシュレット付便所に慣れきっていた部長は、それが気に食わなかった。すでに悲鳴をあげて痛くてたまらなかった肛門が、紙で拭くだけの不衛生な戦後処理に耐えられなかったのだ。また、通称「ウンチングスタイル」は苦手だった。試合もろくすっぽ見ていられないので、しょうがなく帰宅することをGMに願い出た。
快く了承していただき、一路齋藤家へ。しかし車に乗り込むとき、すでに4回目の警報が鳴り始めていた…。「最悪の場合、どっか公園にでも寄ろう」。帰り道、清新町にできた新しい橋を渡るとき、阿相が「その橋でネズミ捕りをやってましたよね?」と言っていたのを思い出す。いつもなら100キロは出すであろうその道を60キロ以下に落とし、ノロノロと走る総務部長。1台に抜かれ、2台に抜かれ、バックミラーに写る車両には全部抜かれた。「みんな捕まっちまえ」と心の中で叫ぶが、その時点では取り締まりをやっていなかったようだ。ただでさえ、警報が鳴っているので、いらぬ時間のロスをしてしまった。その後も小さな公園を通りがかる度に何度も車を停めようとしたが、不思議とそのタイミングでは警報は一時的に弱まっていた。通り過ぎて少し経つとまた鳴り出すという悪循環に見舞われる。また、不衛生な公園のトイレでは座ることも躊躇われた。「うんこ〜!(クソ〜!)」というダジャレに1人で酔いつつ、なんとか家まで行こうと決断する。警報の間隔は確実に短くなっていた…。
家が近づく。そういえば、灯油を入れて帰らなければ…。しかしそんなことは後回しだ!ようやく家の近くまで来たが、なぜか配達中の佐川急便の車が行く手を阻んでいる!クラクションを鳴らしまくる部長!もう一刻の猶予もない!セールスドライバーには悪いことをしたが、無理矢理その車を即座にどけてアクセルを踏み込む。
家の前で子供らが遊んでいた。「あ!パパだ!」「どうしてこんなに早いの?(うるさい!)」「まだお尻の穴が痛いの?(周辺のママさん連合の笑い声が…)」「ウンチがもれそうなの?(そうだよ!悪いか!)」。
戦いは確実に終焉へと近づいていた。子供らの声のすべてを振り切り、階段を駆け上がり、家へ到着!走りながらベルトを外し、トイレの扉を開けて座ったと同時にダムを開放する。「あああぁぁぁ〜〜」と思わず声が出る。「シューーーーー!」という効果音もあえて書かせていただく。このシューの長さはおれの人生においての最高記録を大幅に塗り替えた。この長さは世界でもトップクラスではなかろうか。
部長は3日間で5キロやせることができた。ダイエットのダイは「DIE」なのだそうだ。死に近づくとやせていくということだろうか。とにかく水分が体から出まくるので、いつでもノドがカラカラなのだ。だから飲む。だから出る。この繰り返しだ。起きている時間はこれでもいい。しかし寝るときが問題なのだ。ノドを潤してから寝るとすぐに警報が鳴り出す。だからThirstyな状態で眠らないとならない。これが意外とつらい。
13日(月)時点では、ブツがまだ液体であるものの、だいぶ回数が減ってきた。しかしここまでくると、しばらくは液体のままでいてほしいとすら思う。すでに痔になっている肛門が固くて太いモノには耐えられそうもないのだ。誰か身近な人でノロウィルスと格闘した人が居たら、ぜひ一緒に語り合いたいと思う。
あ、試合は16−5で勝ったそうだ。
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