寸評:「第3回DTL総合優勝!〜集中攻撃〜」
東京をかすめるかと思われた台風も逸れてくれたようで、この時期としては最高のコンディションだったといってもよかろう。暑くもなく寒
くもない絶好の野球日和だ。前日に財布を落としブルーな朝を迎えた筆者であったが、これで悪い運は使い切ったはずだと開き直り試合
に臨んだ。なんてったって無冠の中防にとって、初タイトルを手中に収められるか否かの大事な試合だ。
初回表アストロズの攻撃、先頭打者の打球は高いバウンドで投手の頭を越えようかという当たり。斉藤のグラブをかすめ、菊地がフォ
ローにまわるも内野安打となってしまう。続く二塁ゴロは菊地の失策で初回から無死一三塁のピンチを背負ってしまう。しかし後続を投
飛、投ゴロ、三ゴロと抑え、なんとか無失点にて切り抜ける。最後の三塁ゴロは安藤の投じた球がやや逸れ気味だったが、小川が懸命
にファーストミットを伸ばし事無きを得る。
その裏、中防が誇る3割トリオが投飛、左直、三振と三者凡退に切ってとられる。菊地の左直はなかなかいい当たりだったが、左翼手
の正面をついてしまった。
二回表、一死後三遊間を破られ、死球で一二塁のピンチを招くが、投ゴロ、三振と何とか失点せずに終わらせる。
その裏、一死から道雄が四球を選ぶ。二死後、相手投手武田さんが突如コントロールを乱して矢内、鈴木と連続四球で満塁のチャン
スを迎える。打席には最近右打席に戻して好調の安藤。カウント2−2からやや食い込まれながらも芯で捕らえた打球は投手のグラブを
弾き、内野安打で先制点をモノにする!
三回表、先頭打者に四球を出してしまう斉藤。続く3番田島さんに左中間を深々と破られ本塁打を被弾!あっさりと逆転を許す。
その裏、スランプ小川が死球をいただくも4人でアッサリと攻撃を終える。
四回表、またもや先頭打者を四球で歩かせてしまうと盗塁、失策も絡み三塁を許す。一死後、綺麗に適時打を打たれ追加点。
その裏は三者凡退。
五回表、四番打者に左越えの二塁打を放たれるも後続を抑える。
その裏も三者凡退。
六回表、安藤がこれまた綺麗なトンネルを披露するも零点に抑える。
その裏、2回を除けばほぼパーフェクトに抑えられていることによって雰囲気的に暗雲が立ち込める中防ベンチ。斉藤の二塁ゴロで更
にそのムードに拍車がかかる。中防にとって優勝の二文字は、やはり手の届かぬ遠いものなのだろうか・・・。来年以降、第4回大会で
また一からやり直しか・・・。
しかし!ここから、誰ひとり無駄のない攻撃で神懸かりとも思える初栄冠へのシナリオが一気に書き換えられるのだ!
一死後、小川が四球を選び出塁。この時点ではまだ奇跡が起こるとはまだ思えなかった。続くプレッシャーとは無縁の道雄はいつもの
通称「豪快、だけど当たらず振り終わった後に満面の笑みスイング(ちと長い)」でツーナッシングと追い込まれる。しかしいつもと違った
のは、最後に右手一本で流し打ち、遊撃手の頭を越える綺麗な左前安打で優勝への望みが繋がれたのである。続いて、球を“体に”呼
び込む特異な体質を持つ涌井が貴重な死球をいただき満塁とする。
さて、この日中防は見せ掛けの4番に小川を据え(笑うところだよ、みんな頷かないように)、本当の4番を7番に配置してあったのだ。
打席の矢内にキャップから「大きいのは要らないぞ!」と声が飛ぶ。しっかりその声に呼応した中防の主砲はキッチリと中前に白球を運
ぶ!この一打で小川と道雄が生還し、ひとまず同点〜!!しかし少ないチャンスを生かし切りたい中防は是が非でも逆転しておかなけ
ればならなかった。続く鈴木のカウント1−1のとき、三塁塁上でチョコチョコといかにも非機能的な動きを見せていた涌井に一抹の不安
がよぎったのだろう。キャップは代走に浜田を送る。これで内野ゴロでも帰れるかもしれない。打席の鈴木はカウント2−3まで粘り、なん
とか四球を選ぶ。この四球が勝負の分水嶺だったかもしれない。四球を選んだだけということなかれ、際どい球に手を出さずに凡打や三
振に倒れなかった鈴木のこの打席は殊勲に値するものでもあった。
再度満塁となり、打席には安藤。キャップは初球にスクイズをチョイス。満塁のためフォースプレイになることから、通常のスクイズよりも
ややリスキーではあったが、ここでキッチリと決められるのが今年の中防の成長点でもある。三塁走者浜田のスタートのタイミングもよく
安藤も左打席に替わってしっかりとこれを決めた。キャップの、そして中防の一念がこのスクイズに結集された感がある。これがおれたち
の最も1点が欲しい場面での選択なのだ。感動的ですらあった。涙腺が弛みそうだったのはおれだけか?
最後はスランプ脱出を図りたい土田だ。もう技術的なことを凌駕する場面でもあったが、執念で放った打球は三遊間を襲う。元々三遊
間寄りにポジショニングしていた三塁手のグラブの先をかすめて打球はセンターへ転がる。三塁走者の矢内はホームイン!二塁走者の
鈴木は際どいタイミングだ。惜しくも間一髪でタッチアウト〜!しかしこの回の攻撃が放つ輝きは自軍ながらアッパレだった・・・。
5回あたりから右手中指の先の皮が剥けてしまいとっても痛い斉藤だったが、そんなことはいってられない。これでは加藤鷹ばりのGス
ポ責めもしばらくは封印だなどとマウンド上であらぬことを考えてしまう。そんなこんなだが、土田のタイムリーのおかげで1点ではなく2点
の余裕をいただいている。一死後右前安打が失策絡みで三塁を許すが、中防はこの走者は還してしまえの陣容を敷く。しかし土田への
鋭い打球は一塁へ悪送球となり、1点を返されなおも同点の走者が出塁してしまう。簡単には勝利は転がってこない。ここで捕飛に打ち
取り二死までこぎつけると、一塁上の走者が賭けに出る。肩痛の注射を打ちながら臨む矢内が最後の力を振り絞り、ドンピシャのストライ
クを二塁へ送り見事な刺殺で激戦にピリオドを打った・・・。
嗚呼、なんていい試合だったのだろう。あまり多くは語るまい・・・、な〜んて最終回だけで7段落も使っちまったゼィ!
優勝だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!
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